歯を失ってしまった……

歯を失ってもインプラントがあります!

大切な歯が抜けてしまったら……
治療方法としては、インプラント、ブリッジ、入れ歯の3つの方法があります。

インプラント治療の最大のメリットは、残っている歯に負担をかけないで咀嚼機能を回復できることです。図のようにブリッジは両隣の歯を削らなければ作製できません。場合によっては全く健康な歯まで削らなければならないこともあります。歯のない部分(ブリッジのダミーの部分)に加わる力も両隣の歯に負担させることになります。また入れ歯の場合はバネが、残っている歯にかかります。歯のない部分に加わる力をバネによって残っている歯に負担させるわけです。しかし、インプラントは、歯のない部分の骨の中にインプラント体を埋め込みますので、残っている歯に全く負担をかけずに咀嚼能力を向上させることが可能なわけです。

ブリッジの10年生存率(10年間使用できる確率)は90%、入れ歯の10年生存率は50%、インプラントの10年生存率は93%となっています。すでにインプラントの予後は、ブリッジや入れ歯よりも良好であることが分かっています。

インプラント治療の流れ

インプラント治療の流れ

当院のインプラント治療が安全・安心・確実な理由

インプラント治療が失敗する原因にはさまざまなものがありますが、特に歯科医師側の知識不足や技術・経験不足が大きいと言われています。安全・安心・確実なインプラント治療を行うためには、治療を行う歯科医師が充分な知識と技術を持っていることが重要です。さらに手術前にはしっかりと検査を行って全身疾患などの有無を確かめ、そのうえで充分な説明がなされる必要があります。また、患者様と信頼関係を構築できるコミュニケーション能力が安全・安心・確実なインプラント治療へとつながると当院では考えています。

インプラントについてよくあるご質問

Q

ブリッジがよいか、入れ歯がよいか、インプラントがよいか?迷っています。

A

歯科医師の説明を良く聞いてから、自分の価値観、人生感、好き嫌いで選択してください。インプラント治療は、病気を治す治療ではありません。眼鏡 にするかコンタクトレンズにするかと一緒です。インプラント治療はリハビリテーションの一種ですから好きな方を選択すればよいわけです。インプラント治療は手術を伴うため に、歯科医師も病気を治していると誤解してしまっていることが多いと思われます。当然、歯を失う原因は病気です。この原因は歯周病かむし歯です。しか し、歯がないことは病気ではありません。歯のないところの組織を採取して顕微鏡で見ても、どこにも病気は見つかりません。したがって、インプラント治療は病気を治す治療では ないので、歯科医師側から「あなたはインプラントにするべきだ」とは決して言ってはいけないことなのです。治療方針の選択の主導権は患者様にあるわけで す。インプラントの、ブリッジの、入れ歯のメリットとデメリットに関して十分な説明を受けたうえで、理解して自ら選択してください。眼鏡やコンタクト レンズを選ぶときと同じように。図は歯科医師対象の講演会で常に示しているものです。歯科医師側の適格な理解も必要とされています。

Q

インプラントは第2の永久歯ではないのでしょうか?

A

残念ながら、インプラントは第2の永久歯とは成りえません。
インプラントの正体をご説明いたします。
インプラントはチタンという金属からできています。したがって自分のものではありません。人間の体は、自分のものではない異物を速やかに外に追い出そうとします。これを異物処理機転と言います。 たとえば、トゲが皮膚に刺さったとします。刺さった場所には白血球が調査に向かいます。調査の結果、これは自分のものではない、つまり非自己と認定します。認定されるとトゲの周囲は肉芽組織という肉のようなもので取り囲まれ、速やかに体外へ追い出されます。 これを異物処理機転と言います。インプラントも金属で非自己ですから当然異物処理機転が働くわけです。しかし、インプラントがチタンという金属からできているため、トゲとは異なった異物処理機転が働きます。チタンという金属の特性は、生体親和性がよいという大きな利点があります。生体親和性とは、体になじみやすいということです。インプラントが体の中に入ってくると、ここにも白血球が調査に向かいます。しかし、チタンという金属の生体親和性がよいため、白血球はインプラントを自己であるのか非自己であるのか認識できません。したがって私たちの体は、骨の中に入ってきたインプラントが、ここから逃げて移動してしまわないようにとりあえず骨で取り囲みます。あごの骨の中に入ってきているので、骨で逃がさないように取り囲むわけです。
トゲは肉芽組織で取り囲まれますが、インプラントは骨で取り囲まれます。インプラントが骨でがっちり取り囲まれると、ここに力を加えられますから、われわれにとっても患者様にとっても大変有利なわけです。しかし、一旦インプラントが体に入った方は、一生自分の体をだまし続けなければなりません。インプラントが非自己であることを自分の体が知ってしまったら、インプラントはトゲと同じ運命となり、体から排除されてしまうわけです。では、どのようになったら体はインプラントを非自己と認定してしまうのでしょうか。
インプラントが骨と結合した後、上部構造を作り咬むことができるようになります。歯には歯周病があるように、インプラント周囲に汚れが継続するとインプラント周囲炎という病気が発症します。この炎症が長く続くと炎症巣から多量のサイトカインという物質が放出されます。これに対して生体は、こんなにたくさん炎症性サイトカインンが出ているのは、やはりこのインプラントは非自己であるとバレてしまうわけです。一旦、バレてしまえばトゲやガラスと同じですから、インプラントと骨との結合は消失し、肉芽組織に置き換わってしまい、インプラントは排除されてしまいます。同じように、インプラントに過大な力が加わっても炎症性サイトカインが発現します。食物を食べるような力はたいした力ではありません。歯ぎしりをする、くいしばるという時には、大変大きな力が発現します。これらの力を過大な力と言っています。過大な力によってもインプラントは非自己であることがバレてしまうことになります。
したがって、図のようにインプラント失敗の原因、つまり非自己がバレてしまう原因は、炎症か過重負担のふたつ、あるいは両者の複合であると考えられています。
インプラントの正体がバレないためには、十分なメインテナンス(定期検診)が必要とされます。

Q

インプラントできれいに自然に元の歯の様になりますか?

A

図のようにどちらがインプラントであるか全く分からないように治療できる場合があります(○印がインプラント)。しかし、完全にはもとの歯のようにはならない場合もあるわけです。これはインプラントを入れる部位の骨の量や質、粘膜の量やその状態に左右されます。

Q

インプラントでよく噛めますか?噛む感覚は違いますか?

A

自分の歯よりもよく噛めるようになります。しかし、良く噛めるようになってしまうことにより、都合の悪いこともでてくる可能性があります。強固な支持が得られることは、大きな力が発揮されることに繋がります。今までは小さな力しか負担していなかったインプラントとかみ合う相手の歯に、根の先の病気があったり歯周病であった場合、それまでは力のバランスで何の症状もなかったのにもかかわらず、インプラントが入ったことにより痛みや歯の動揺などの症状が現れる可能性があります。したがって、インプラント治療を行う際には、噛み合う相手の歯の健康状態にも気を使う必要があります。
噛んだときの感覚は、図のようにたくさんのインプラントを入れて、噛みあう相手もインプラントである場合、噛んだときに金属が響くような感じがするといわれる患者様もいらっしゃいます。しかし、この感覚は長くても1年ほどで普通の感覚に戻ります。

Q

手術は大変でしょうか?不安があります。

A

手術後には当然腫れや痛みがあります。しかし、これらは歯を抜いたときと同じ程度です。1本の歯を抜くストレスよりも1本のインプラントを埋入するストレスの方が軽度であるといわれています。

不安を取り除いて、リラックスしてインプラント手術を受ける方法があります。静脈鎮静法といって大学病院の歯科麻酔科の専門医が出張して行います。

Q

インプラントを入れてすぐに噛めるようになりますか?

A

インプラントを入れてすぐに噛めるようにすることを「即時荷重」といいます。即時荷重はすべての患者様に可能ではありません。基本的には3~4カ月の安静期間が必要です。しかし、条件が整っていれば即時荷重が可能です。条件とは骨の量と質、咬合状態、全身状態等です。これらの条件がそろっていたとしても、世界的にコンセンサスが取られている治療対象部位は、無歯顎症例、下顎臼歯部の部分欠損症例、前歯部の部分欠損症例だけであり、上顎無歯顎のうち取り外し可能なインプラント装置を使用する場合と上顎部分欠損症例は、まだまだ実験段階の治療方法であるといわれています。また、即時荷重という治療方法の成否は、術者の経験と技術に左右される部分が多いため、適切な教育を受け、経験とスキルを備えた熟練した臨床医にとってのみ効果的な治療方法であるといわれています。つまり、誰が行っても成功する治療方法ではないということです。 さらに患者様の負担を減らすために、抜歯後即時埋入・即時荷重という方法も行われていますが、これも世界的にはまだまだコンセンサスが取られていない方法であることはよく知られています。患者様がそのメリット、デメリットをよく理解していただけるまで説明し、インプラント治療の失敗のリスクを伴うことを納得いただいたうえで行うことができます(図)。

治療例紹介

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書籍紹介

当院のインプラント担当医の矢島教授が執筆された書籍をご紹介します。

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